佐藤行政書士事務所
行政書士 佐藤博英のブログ

会社設立手続き

平成18年5月1日の会社法施行に伴い、有限会社を設立することは出来なくなりました。
平成18年4月30日までに設立された有限会社は、株式会社の形態をとりながら存続します(これを「特例有限会社」といいます。)
なお、合名会社や合資会社は従来と変わりなく設立できます。
ここでは、設立手続が多い株式会社を例にしてご説明します。



I.会社設立手続の変更点

会社法施行に伴い、大きく変更になった点についてご説明します。

1.類似商号調査が不要

今まであった「同一市区町村内に類似した商号且つ類似した目的をもつ会社の登記はできない」という規制は廃止され、類似商号調査は不要になりました。
但し、既に登記されている他の会社と同じ所在地に、その会社と同じ商号で登記することはできません。
また、今まで通り「不正競争防止法」により、広く認識されている他人の商号や商品名と同じものを使用することはその使用差止や損害賠償の対象となりかねませんので、十分ご注意下さい。

2.目的の具体性調査が不要

今までは、行いたい事業目的に具体性があるかどうか登記申請の際、審査対象となっておりましたが、具体性については審査対象ではなくなりました。
但し、「適法性」については今まで通り審査対象となります。

3.最低資本金制度が廃止

今まであった「資本金は1,000万円以上」という最低資本金制度は廃止されました。ですから、1円でも設立はできます。
但し、許認可が必要な事業を行う場合は、その許認可要件で資本金額に条件があるケースがあるので、定款作成の前に当事務所又は許認可を審査する機関に確認をして下さい。

4.保管金証明書が不要

資本金を払い込んだ証明として金融機関が発行していた「出資払込金保管証明書」が不要となりました。
但し、発起人個人が自分の口座に資本金を払い込んだ「預金通帳のコピー」、「取引明細書(ネットバンキングの場合)」などの資本金を払い込んだことを明らかにする書類は必要になります。



II.設立手続の流れ

従来と殆ど変更はありませんが、前述の内容を踏まえてご説明します。

1.商号・会社所在地・目的の決定

類似商号調査は不要ですが、テナントビル等に会社を設置する場合は、同一所在地に同一商号が登記されているかどうかを確認されることをお勧めします。
また、目的の具体性は考慮する必要はありませんが、適法なのかどうかは調べる必要はあります。

2.会社の実印、定款の作成

定款を作成する際は、特に「Ⅳ株主総会以外の機関について」及び「Ⅴ取締役などの任期」をご参考にして下さい。

3.公証人役場での定款認証

会社の本店所在地がある都道府県内の公証人役場で認証を受けなければなりません。例えば、会社の本店所在地が東京都中央区に置くものの、発起人の方が千葉県市川市にお住まいで、ご自宅から近い市川公証人役場で認証を受けるということはできません。
なお、電子認証で行う場合でも、本店所在地の都道府県内にある公証人役場に対して行わなければなりません。

4.出資する資本金の払い込み

金融機関発行の出資払込金保管証明書は不要ですが、払い込んだことを明らかにする書類は、設立登記の添付書類として必要です。
なお、今まで通り出資払込金保管証明書の発行手続を行っても結構です。

5.設立登記申請書類の作成

会社の本店所在地を管轄する法務局に提出するための登記申請書類を作成して下さい。

6.設立登記申請書の提出

7.登記の完了

必要に応じて、会社の印鑑証明書・登記事項証明書の発行手続を行って下さい。

この後、本店を管轄する税務署、都道府県税事務所、市区町村役場へ会社の設立届を提出したり、社会保険・厚生年金保険加入手続、雇用保険・労災保険加入手続などを行う必要があります。

登記申請に関して

法律の規定により、行政書士が業務として登記申請することは出来ませんが、当事務所は千葉司法書士会所属の司法書士と業務提携しておりますので、書類作成→登記→許認可申請まで一貫して行います。
将来、許認可の取得をお考えならば、許認可も考慮に入れて、事業目的決定などの手続きを進めさせて頂きます。

税務手続に関して

会社の決算書類作成、税務申告書の作成またそのアドバイスについては、当事務所が窓口となり、提携している税理士をご紹介いたします。

社会保険、労災保険などの手続に関して

社会保険・厚生年金保険への加入手続、雇用保険・労災保険への加入手続、毎年行う保険料の算定またそのアドバイスについては、当事務所が窓口となり、提携している社会保険労務士をご紹介いたします。

III.用語について

会社法の施行により、従来のと変更になった用語、新しく規定された用語についてご説明します。
機関設計をされる際、ご参考にして下さい。

1.大会社

資本金5億円以上(又は直近事業年度の負債合計額が200億円以上)の株式会社のことをいいます。
これについては、今までと変更はありません。

2.公開会社

会社法施行により、新しく規定されたものです。定款で株式譲渡制限規定(株式を譲渡する時は取締役会などの承認が必要であるという規定)を設けていない株式会社のことをいいます。
公開会社といっても、株式を店頭公開していることや上場していることとは、関係ありません。
なお、公開会社ではない会社のことを、このサイトでは便宜上「非公開会社」と呼んでおります。

3.会計参与

会社法施行により、新しく規定されたものです。取締役と共同して会社の計算書類を作成して会計参与報告書を作成することが職務です。
また、会社で保存する計算書類とは別に、会計参与自身もその会社の計算書類を5年間保存することが義務付けられております。
会計参与は、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人でなければ選任することができません。
任期は、その会社の取締役と同じ任期となります。会計参与を置く場合は定款で規定しなければなりません。

4.監査役

今まで通り選任資格に変更はありません。会社法施行により、変更になったのは次の点です。

a.大会社、中小会社など会社の規模に関係なく、取締役に対する業務監査権と会計監査権の2つの権限を持つと規定されました。また、会社の規模に関係なく取締役会への出席義務も規定されましたので、取締役会議事録に署名捺印(記名捺印)しなければならなくなりました。
但し、非公開会社で監査役会・会計監査人を置かない場合に限り、会計監査権に職務を限定することができます。この場合は、定款で職務権限を限定することを規定しなければなりません。会計監査に限定された監査役は取締役会への出席義務はありませんので、議事録への署名捺印も不要です。

b.従来は、委員会設置会社を除き、絶対に置かなければならなかったのですが、会社の機関形態によっては置かなくてもよくなりました(詳細は、「Ⅳ株主総会以外の機関について」でご説明しております)。

5.監査役会

今回の会社法施行前から設置が認められておりましたが、大会社(みなし大会社含む)しか設置できませんでした。会社法の施行により、会社の規模に関係なく設置することができるようになりました。
設置する場合は、3名以上の監査役が必要で、その過半数は社外監査役(過去にその会社や子会社の取締役、会計参与、執行役に就任したことがない者)でなければなりません。
監査報告書の作成はもちろんのこと、常勤監査役の選任や解任を行います。

6.会計監査人

今回の会社法施行前から設置が認められておりましたが、大会社(みなし大会社含む)しか設置できませんでした。会社法の施行により、会社の規模に関係なく設置することができるようになりました。
選任資格は、公認会計士又は監査法人に限定されております。

7.三つの委員会

今回の会社法施行前から設置が認められておりましたが、大会社(みなし大会社含む)しか設置できませんでした。会社法の施行により、会社の規模に関係なく設置することができるようになりました。
指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3つの委員会を指しております。委員会を設置した場合は、取締役会で1名又は2名以上の執行役を選任しなければならず、2名以上の執行役を置いた場合は、その中から代表執行役を選任しなければなりません。
取締役は業務執行ができず、取締役会は取締役や執行役の職務を監督し、執行役を選任、解任する機関になります。
なお、各委員会とも3名以上の委員で組織されなければならず、その過半数は社外取締役(子会社も含め業務執行権のない取締役、執行役でない者、過去にも執行権がある取締役や執行役に就任したことがない者のこと。
その会社とは利害関係がない中立的な立場の取締役のことをいう。)でなければなりません。

(1)指名委員会
 株主総会に提出する取締役の選任や解任に関する議案内容を決定する委員会

(2)監査委員会
 取締役や執行役の職務内容を監査すること及び会計監査人の選任や解任、不再任に関する議案内容を決定する委員会

(3)報酬委員会
 取締役や執行役の報酬内容を決定する委員会

4)執行役
 取締役会で選任され、業務決定や執行を行う。



IV.株主総会以外の機関について

会社法の施行に伴い、株主総会以外で株式会社に設置が義務付けられるようになった機関は、取締役のみです株主総会・取締役以外の機関の設置などについては、その会社が公開会社であるのかどうか、大会社であるのかどうか、取締役会を設置するのかどうかなどによって変わり、会社で自由に設計することができるようになりました。パターンに分けてご説明します。

1.非公開会社で大会社以外の場合

 【パターン1:取締役が1名の場合】

  監査役→選任することができる。(注:会計監査人を選任した場合は設置義務あり)
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任することができる。

 【パターン2:取締役が2名以上で取締役会を設置しない場合】

  代表取締役→選定することができる。(注:選定しない場合は各自に代表権がある)
  監査役→選任することができる。(注:会計監査人を選任した場合は設置義務あり)
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任することができる。

 【パターン3:取締役が2名以上で取締役会を設置する場合】

  取締役→3名以上選任しなければならない。
  代表取締役→選定しなければならない。
  監査役→選任しなければならない。
 (注1:会計参与を選任した場合は、監査役の選任は任意となる)
 (注2:会計監査人を選任した場合は、会計参与を置いても設置義務あり)
  監査役会→設置することができる。
 (注1:会計参与を選任した場合は、監査役の選任は任意となるため、監査役を置かなければ設置することができない。)
 (注2:設置する場合は、監査役は3名以上必要。)
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任することができる。

 【パターン4:三つの委員会を設置する場合】

  取締役→3名以上選任しなければならない。
  取締役会→置かなければならない。
  代表取締役→選定できない。(代わりに執行役を選任する。)
  監査役→選任できない。
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任しなければならない。

2.非公開会社で大会社の場合

 【パターン5:取締役が1名の場合】

  監査役→選任しなければならない。
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任しなければならない。

 【パターン6:取締役が2名以上で取締役会を設置しない場合】

  代表取締役→選定することができる。(注:選任しない場合は各自に代表権がある)
  監査役→選任しなければならない。
  監査役会→設置することができる。(注:監査役3名以上が必要)
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任しなければならない。

 【パターン7:取締役が2名以上で取締役会を設置する場合】

  取締役→3名以上選任しなければならない。
  代表取締役→選定しなければならない。
  監査役→選任しなければならない。(注:会計参与を選任しても選任義務有り)
  監査役会→設置することができる。(注:監査役3名以上が必要)
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任しなければならない。

 【パターン8:三委員会を設置する場合】

  取締役→3名以上選任しなければならない。
  取締役会→置かなければならない。
  代表取締役→選定できない。(代わりに執行役を選任する。)
  監査役→選任できない。
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任しなければならない。

3.公開会社で大会社以外の場合

◎取締役会の設置義務があります。

 【パターン9:三つの委員会を設置しない場合】

  代表取締役→選定しなければならない。
  監査役→選任しなければならない。(注:会計参与を選任しても選任義務有り)
  監査役会→設置することができる。
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任することができる。

 【パターン10:三つの委員会を設置する場合】

  代表取締役→選定できない。(代わりに執行役を選任する)
  監査役→選任できない。
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任しなければならない。

4.公開会社で大会社の場合

◎取締役会の設置義務があります。

 【パターン11:三つの委員会を設置しない場合】

  代表取締役→選定しなければならない。
  監査役→3名以上選任しなければならない。(注:会計参与を選任しても選任義務有り)
  監査役会→設置しなければならない。
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任することができる。

 【パターン12:三つの委員会を設置する場合】

  代表取締役→選定できない。(代わりに執行役を選任する)
  監査役→選任できない。
  会計参与→選任することができる。
  会計監査人→選任しなければならない。



V.取締役などの任期について

今までは、株式会社の取締役は、定款で定めれば最長で「就任後2年内の最終の決算期に関する定時株主総会終結時まで」、監査役については同様に最長で「就任後4年内の最終の決算期に関する定時株主総会終結時まで」とされておりましたが、会社法施行により変更されました。
なお、「設立後最初の取締役及び監査役の任期は1年を超えることができない」との規定は、会社法施行により削除されました。

1.取締役・監査役の任期

①取締役
 (原則)
 「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。
 定款で何も規定しない場合は、この任期が適用されます。
 なお、三つの委員会設置会社の場合は、「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。

 (定款で任期を定める場合)
 会社の規模、形態にかかわらず、定款で定めることにより、原則の任期を短縮することができます。
 非公開会社で三つの委員会を設置していない会社に限り、最長で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」と延長することができます。

 ※公開会社や非公開会社でも三つの委員会を設置している会社は、短縮する場合を除き、原則の任期が適用されます。

②監査役
 (原則)
 「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。

 (定款で任期を定める場合)
 原則の任期を短縮することはできません。非公開会社の場合に限り、最長で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」と延長することができます。

 ※公開会社は、原則の任期が適用されます。

2.会計参与の任期
 その会社の取締役と同じ任期となります。

3.会計監査人の任期
 「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。

4.執行役の任期

 「選任後1年以内終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結後に招集される最初の取締役会終結時まで」です。
 ただし、定款でこの任期を短縮することができます。



VI.設立手続で必要となる費用について

会社法の施行に伴い、有限会社の設立ができなくなったことは最初にご説明した通りです。株式会社を設立する際の費用についてご説明いたします。

①定款認証用収入印紙代¥40,000円
 ※電子認証の場合は、無料です。但し、認証機関発行の電子証明書、専用ソフトウェアが必要となります。

②公証人報酬額¥50,000円(電子認証の場合でもかかります)
 ※その他に定款謄本代¥750円/通がかかります。電子認証の場合は、同一情報の提供代¥720円、情報の同一性証明¥700円がかかります。

③登録免許税(法務局納付)
 資本の額の1,000分の7で計算した額を納付します。この計算式で計算した結果、15万円未満となった場合は15万円を納付します。よって、最低額は15万円となります。

◎当事務所にご依頼の場合は、別途報酬額を頂きます。なお、登記申請は司法書士でなければ行えませんので、定款などの書類作成後に提携している司法書士へ責任をもって委託します。



VII.確認会社、特例有限会社、株式会社の変更手続について

1.確認有限会社、確認株式会社に関する手続

平成18年4月30日までに、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」又は「新事業創出促進法」に基づき、地方経済産業局から最低資本金の緩和措置を認められて有限会社や株式会社を設立された方は、定款や登記事項証明書に記載されている「解散の事由」を抹消しなければなりません。
会社法施行により、最低資本規制度はなくなりましたが、緩和措置を受けて設立された会社は、会社法施行と連動はしておりませんので、「解散の事由」が残ったままになっております。
増資や組織変更をする必要は特にありませんが、「解散の事由」を抹消しないまま放置しますと、会社設立日から5年を経過した段階で「解散」させられてしまいます。
株主総会(有限会社であっても、会社法施行後は株主総会)で、定款変更を決議し、法務局へ申請しなければなりません。
なお、この登記が完了した後、地方経済産業局への届出は不要です。
詳しくは、当事務所にご相談下さい。

2.特例有限会社に関する手続

役員変更や本店移転などの変更手続は、平成18年4月30日までと変わりはありませんが、合併手続については注意が必要で、特例有限会社を存続会社とすることや、有限会社を設立するような新設合併はできません。
変更する際の決議ですが、会社法施行以前の「社員総会」ではなく、「株主総会」で決議することとなります。
なお、特例有限会社の取締役などの任期については、会社法施行後も上限はありません。

【商号変更による通常株式会社への移行について】

会社法施行により、特例有限会社は商号に「有限会社」と付いているものの、実態として株式会社となっております。
「商号変更」することで株式会社へ移行できます。株主総会で、商号変更も含めた定款変更決議をし、その議事録など法務局から求められている書類を提出します。なお、この時に「有限会社の解散」の申請も行います。
この時点で完全に株式会社となります。
許認可を受けている会社で、株式会社へ移行した場合は、商号変更などの届出(場合によっては、許可証・免許証・認可証の書換も)を許認可庁へ提出する必要があります。
詳しくは、当事務所にご相談下さい。

3.株式会社に関する手続

特に、機関設計に関する変更手続についてご説明します。
会社法施行以前は、取締役3名以上でそのうち代表取締役が1名以上必要(委員会設置会社除く)でしたし、監査役も1名以上必要(委員会設置会社除く)でした。
会社法施行後も以上のような要件が必要なのは、非公開会社で且つ取締役会を設置する会社又は公開会社(共に委員会設置会社を除く)のみとなりました。

【取締役、代表取締役、取締役会の変更について】

Ⅳ.株主総会以外の機関」をご参照の上、変更が可能な会社形態かどうかご確認下さい。取締役の人数、取締役会の廃止(又は設置)などは定款変更を決議した上、登記を行わなくてはなりません。
許認可を受けている会社の場合は、取締役の減員を行う際、減員対象となる取締役が許認可要件として求められている「管理者」などに該当していないかご確認下さい。いたずらに減員した結果、許認可要件を満たさなくなったとならないようにして下さい。
許認可によっては、減員しただけでも変更届が必要になります。
代表取締役を選定しないと変更した場合は、取締役の人数に関係なく、各自会社を代表することとなります。
このような会社の登記事項証明書には、取締役A・代表取締役A、取締役B・代表取締役Bと同一人物が重複して記載されます。
取締役を1名にした場合でも、取締役A・代表取締役Aと重複して記載されます。

【監査役、監査役会の変更について】

監査役を設置しないことも可能ですが、可能な会社形態かどうか前述と同様にご確認下さい。
監査役を設置しないと変更する場合は、監査役に辞任して頂き、定款変更を行った上、登記を行わなくてはなりません。許認可によっては、監査役も役員扱いとされ、監査役がいなくなった旨の変更届が必要となります。

(権限の限定変更)
監査役の権限を「会計監査に限定」することもできますが、次のいずれにも該当する会社でなければなりません。
①監査役会を設置していない会社であること。
②会計監査人を選任していない会社であること。
③非公開会社であること。

監査役会を設置するには、会社の規模にかかわわらず、3名以上の監査役が必要で過半数は社外監査役でなければなりません。
委員会設置会社の場合は、監査役そのもを選任できませんので、監査役会は設置できません。
逆に、監査役会を廃止するには、監査役を2名以下に減員するか、監査役そのものを選任しないと定款変更を行う必要があります。

【会計参与の変更について】

会計参与は会社の規模や形態に関係なく、全ての株式会社に置くことができます。
但し、税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人でなければ会計参与にはなれません。
置く場合は、定款変更が必要となり、有資格者であることの証明書も必要となります。また、設置した場合は、会社の計算書類の備置場所も登記事項とされています。
逆に廃止する場合も、定款変更が必要となります。
廃止する際に注意が必要なのは、非公開会社で取締役会設置会社の場合です。
監査役の代わりに会計参与を置いていた会社は、監査役を新たに選任しない限り、会計参与を廃止することはできません。

【会計監査人の変更について】

会計監査人は、大会社や委員会設置会社に設置が義務付けられておりますが、それ以外の会社は任意に置くことができます。この場合も定款変更が必要です。
廃止する場合も株主総会で定款変更を決議しなければなりませんが、大会社や委員会設置会社は会計監査人を廃止することはできません。

4.株式会社における取締役、監査役の任期に関する手続

会社の規模や形態にかかわらず、定款で定めることにより取締役の任期を原則の任期より短縮することが可能です。しかし、監査役の任期は短縮することができません。
非公開会社(委員会設置会社を除く)に限り、取締役・監査役とも、最長で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」と変更することができます。
変更する際は、定款変更となりますので、株主総会で決議しなければなりません。今まで通り、任期は登記事項証明書には記載されませんので、原則の任期以外を採用した場合は、社内で十分管理なさって下さい。

(会社法施行時の特例)
会社法施行時(平成18年5月1日)に取締役であった方の任期は、2年(又はその会社の定款により、就任後2年内の最終の決算期に関する定時株主総会終結時まで)のままであり、監査役であった方の任期は、4年(又はその会社の定款により、就任後4年内の最終の決算期に関する定時株主総会終結時まで)のままです。
更に、会社法施行以前に設立されたばかりの会社の取締役や監査役の任期は、今まで通り1年(又はその会社の定款により、就任後1年内の最終の決算期に関する定時株主総会終結時まで)となっております。
しかし、非公開会社(三委員会設置会社を除く)に限り、取締役・監査役の任期が満了する以前に、定款変更を行えば、最長で「10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」と延長することもできます。

取締役・監査役の任期は、登記事項ではないので、登記事項証明書(登記簿謄本)には記載されません。
許認可の申請、入札参加資格審査申請を行う際、必ずといってよい程、登記事項証明書を提出しなければなりません。
原則任期以外の任期を採用された会社の場合、登記事項証明書の提出時に、「任期切れでは?」と審査時に指摘され、その場で混乱が生じる可能性があります。任期を変更した際の株主総会議事録のコピーを、必要に応じて登記事項証明書と合わせて提出されるなどの対応を取られた方がよいかと思います。
任期を変更した際の議事録は、保存期間に関係なく社内で重要書類として大切に保管なさることを強くお勧めいたします。