産業廃棄物とは、企業・工場などで行われている事業活動に伴って発生した廃棄物の内、次の20種類と輸入された廃棄物を指します。
但し、紙くず等7種類については、排出事業者の業種や事業内容が限定されています。限定された業種以外の事業活動から発生した廃棄物は、産業廃棄物ではなく事業系一般廃棄物となります。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令で、次の20種類と決められております(但し特別管理産業廃棄物を除く)。
また、実際に収集運搬業許可の申請をする際に、運搬する種類によっては、排出事業者の業種内容や事業内容が指定されているものがあります。
この場合、指定業種以外は産業廃棄物となりませんので、ご注意下さい。
なお、集合住宅の内装工事で排出される「給湯器」(固体物)等を収集する場合は、複合廃棄物となるため「給湯器」に含まれるもの全て(プラスチック類、ガラス、金属)について申請することとなります。
(1) 燃え殻
(事業活動に伴い生じる石炭がら、灰かす、焼却残灰、炉清掃排出物など)
【例:石炭がら、灰かす、コークス灰、重油焼却灰など】
(2) 汚泥
(工場排水等の処理後に残る汚泥状のものや、製造業の製造工程で生じる汚泥状のもの)
【例:製紙スラッジ、下水道汚泥、糊かす、建設汚泥など】
(3) 廃油
(鉱物性油、動植物系油脂に係る全ての廃油)
【例:潤滑油系廃油、洗浄油系廃油、牛脂、なたね油など】
※廃揮発油類、廃軽油・廃灯油類等引火点70℃未満の燃焼しやすいものは、特別管理産業廃棄物になります。
(4) 廃酸
(廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類をはじめとする全ての酸性廃液)
【例:無機廃酸、有機廃酸、写真定着液など】
※廃濃硫酸、廃濃硝酸等ph値2.0以下の酸性廃液は、特別管理産業廃棄物になります。
(5) 廃アルカリ
(廃ソーダ液をはじめとする全てのアルカリ性廃液)
【例:廃ソーダ液、金属せっけん廃液、写真現像廃液など】
※ 強アルカリ廃液等ph12.5以上のアルカリ性廃液は、特別管理産業廃棄物になります。
(6) 廃プラスチック類
(合成高分子系化合物に係る固形・液状の全ての廃プラスチック類)
【例:廃ポリウレタン、廃スチロール、合成繊維くず、合成ゴムくずなど】
(7) 紙くず(排出業者の業種指定有り)
(建設業《工作物の新築・改築・除去によって生じたものに限る》、パルプ・紙・紙加工品製造業者、新聞業《新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る》、出版業《印刷出版を行うものに限る》、製本業、印刷加工業の6業種の事業活動に伴って生ずる紙くず)
【例:住宅改築現場から排出される紙くず、印刷くずなど】
(8) 木くず(排出業者の業種指定有り)
(建設業《工作物の新築・改築・除去によって生じたものに限る》、木材・木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業に係る木くず、貨物流通のために使用したパレットに係る木くずの6業種の事業活動に伴って生ずる木くず)
【例:廃木材、おがくず、廃チップなど】
※1:物品賃貸業に係る木くずとは、リース事業者から排出されるリース物品の内、木製の家具・器具を指します。
※2:貨物流通のために使用したパレットには、パレットへの貨物の積み付けの為に使用した梱包用の木材も含みます。
ここでいうパレットとは、貨物を荷役、輸送又は保管するために単位数量に取りまとめて載せる面を持つ台を指し、積載面の上部に木枠などの構造物を有するものを含みます。貨物流通のために使用したパレットの排出事業者の業種は問いません。
(9) 繊維くず(排出業者の業種指定有り)
(建設業《工作物の新築・改築・除去によって生じたものに限る》、繊維工業〈衣服その他の繊維製品製造業を除く〉の2業種の事業活動に伴って生ずる繊維くず)
【例:建設現場から排出される繊維くず、木綿くずなど】
(10) 動植物性残渣(排出業者の業種指定有り)
(食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業において原料として使用した動植物に係る 固形状の不要物)
【例:魚・獣の骨、皮、内臓、ソースかす、醤油かす、麹かすなど】
(11) 動物系固形不要物(排出業者の業種指定有り)
(と畜場でと殺・解体した獣畜、食鳥処理場で処理した食鳥に係る固形状の不要物)
(12) ゴムくず
(天然ゴムを指す。合成ゴムは廃プラスチック類となる。)
(13) 金属くず
【例:鉄くず、スクラップ、銅線くずなど】
(14) ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
【例:板硝子くず、硝子繊維くず、インターロッキングくず、コンクリートブロックくず、レンガくず、石膏ボードくず】
(15) 鉱さい
【例:高炉など溶炉からの残渣、不良鉱石、鋳物廃砂など】
(16) がれき類
(工作物の新築、改築、除去によって生じたコンクリートの破片、これに類する不要物)
【例:コンクリート破片、アスファルト・コンクリート破片、レンガ等の破片】
(17) 動物の糞尿(排出業者の業種指定有り)
(畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物糞尿)
(18) 動物の死体(排出業者の業種指定有り)
(畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物の死体)
(19) ばいじん
(ばい煙発生施設、産業廃棄物処理施設から発生するばいじんで、集塵施設によって集められたもの)
(20) ①から⑲までの産業廃棄物を処分するために処理したもので①から⑲までに該当しないもの
【例:有害汚泥コンクリート固形物】
積替え保管を含む収集運搬業の許可申請については、その施設を設置する予定の都道府県知事、政令指定都市長、中核市長と、設置に関する事前協議が必要となります。
運搬車両、運搬容器、車庫が確保されていること。
(運搬車両について)
a. 車検証の所有者欄又は使用者欄に、申請者(申請会社)名が記載されていること。
ア.2023年1月4日以降に、車両を購入、車検を受けた場合は電子化された車検証が交付されますが、電子化された車検証には、次の情報は記載されていません。次の情報は、電子化された車検証に内蔵されたICタグに保存されています。
なお、軽自動車については、2024年1月から電子化された車検証が交付される予定です。
①.車検の有効期間満了日
②.所有者の氏名又は名称
③.所有者の住所
④.使用者の住所(使用者の氏名又は名称は、車検証に記載されています)
⑤.使用の本拠の位置
イ.電子化された車検証が交付される時に、併せて交付される「自動車検査証記載事項」に、これらの情報が記載されています。
ウ.但し、3年後の2026年1月までは「自動車検査証記載事項」が交付される予定ですが、その後は交付されないようです。
すでに公開されている「車検証閲覧アプリ」をパソコンまたはスマートフォンにインストールして、ICタグを読み取り、「自動車検査証記載事項」を保存、印刷するなどして情報を確認して下さい。
エ.収集運搬業の許可申請を行う際に、「電子化された車検証のコピー」と、「自動車検査証記載事項のコピー」の両方を提出しますので、交付された「自動車検査証記載事項」は紛失や破棄せずに、保管なさって下さい。
オ.万一、「自動車検査証記載事項」を紛失、破棄してしまった場合は、運輸支局や自動車検査登録事務所で再交付はされません。
紛失や破棄してしまった場合は、「車検証閲覧アプリ」を使って、「自動車検査証記載事項」を印刷して下さい。
b. 使用者欄に申請者(申請会社)名の記載がない場合は、使用者と賃貸借契約を結ぶ必要がありますが、契約期間は1年以上であることが求められております。なお、他の収集運搬許可業者と共同で車両を使用することはできません。申請する都道府県、政令市、中核市によっては、車両を使用者と賃貸借して使用することを認めていない所もあります。
c. 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県内でディーゼル車を使用して収集運搬する場合は、PM(粒子状物質)規制条例適合車であることが必要です。車両そのものが規制条例に適合しているケース(初年度登録の時期によって確認することが可能)とDPFや酸化触媒といったPM減少装置を取り付けて適合させるケースのどちらかとなります。減少装置を取り付けて適合させている場合は、装置取付証明書を提出することとなります。
d. 車検が有効であること。国のNox・PM法適用地域内に車両の使用本拠地がある場合は、登録使用できる期間に制限がありますので、ご注意下さい。使用期限については、車検証に記載があります。
e. がれき類、鉱さいを「土砂等禁止車両」で収集運搬することはできません。車検証備考欄に「積載物は土砂等以外のものとすること」という記載があれば、土砂等禁止車両に該当します。
(運搬容器について)
a.流出・飛散する廃棄物を収集運搬する場合に必要となります。ドラム缶やフレキシブルコンテナバック(フレコンバック)などを指します。キャブオーバ車で運搬する場合は、飛散防止用シートが必要となります。
(車庫について)
a.申請者自己所有か申請名義で賃貸借していることが必要です。自己所有の場合は、不動産登記簿謄本(登記事項証明書)が、賃貸借の場合は、賃貸借契約書が、使用貸借の場合は、使用貸借契約書(または使用承諾書)がそれぞれ必要となります。賃貸借、使用貸借のの場合は、契約期間切れなどにご注意下さい。
(公財)日本産業廃棄物処理振興センター主催の「産業廃棄物の収集運搬課程の講習会」を受講し、修了証の交付を受けていること。
→受講者は、代表者、取締役、事業場(営業所)責任者に限るとお考え下さい。
〈新規許可の場合〉
a.新規講習会修了証発行から5年以内のものが有効。
b.既に他の都道府県、政令市、中核市で許可を受けている場合は、更新講習会修了証発行から2年以内のものが有効。
〈更新許可の場合〉
c.直近の収集運搬業許可の有効期間満了日から数えて5年以内に発行された新規講習会修了証が有効。
d.直近の収集運搬業許可の有効期間満了日から数えて2年以内に発行された更新講習会修了証が有効。
収集運搬業を的確且つ継続的に行うことが出来る財務的な基礎が確保されていること。
a.過去3年間の法人税(個人事業者は所得税)に未納がないこと。
b.直近の決算において、繰越欠損を計上していないこと。繰越欠損がある場合は、収支内容を改善していくための「事業計画書(申請先毎に様式や条件が定められています)」を提出します。
a. 申請者が会社の場合は、履歴事項全部証明書の目的欄に「産業廃棄物の収集運搬業」という内容が登記されていること。
b. 欠格要件に該当していないこと。
c. 収集運搬しようとする産業廃棄物の品目と同じ品目の廃棄物を処分できる処分場が確保されていること。申請する際、その処分場の「産業廃棄物処分業」の許可証のコピーが必要となる場合があります。
a.新たに収集運搬業を始める場合
b.許可を有していた個人業者が法人になった場合
c.許可を有していた個人業者が死亡して、相続により事業を承継する場合
d.許可会社が合併により消滅し、吸収会社が事業を継続して行う場合
許可の有効期間は5年間です。業を継続して行う場合、更新許可申請をしなければ、満了日をもって失効します。
更新許可申請は、満了日の2カ月前(申請先によっては、3カ月前)から満了日前日までに行う必要があります。
取り扱う産業廃棄物の品目を増やすなど、事業範囲を変更する場合
各都道府県知事に申請する場合は、事業場を管轄する都道府県環境管理事務所などの出先機関に申請する場合や、直接都道府県の担当部局へ申請するなどがあります。
なお、千葉県の場合は、(一社)千葉県産業資源循環協会へ電話予約の上、提出することとなっております。
政令指定都市や中核市へ申請する場合は、直接担当部課へ申請する場合がほとんどです。
排出事業者、処分場がそれぞれどこにあるのかによって、提出箇所が変わってきますし、収集運搬業を行うことができる地域も変わってきます。
平成23年3月31日までは、排出事業者、処分場がある都道府県知事、同一都道府県内であっても政令市内に排出事業者、処分場があればその政令市長へ、中核市内に排出事業者、処分場があればその中核市長宛に提出しなければなりませんでした。これが、政令改正により平成23年4月1日から例外はありますが、原則として都道府県知事宛に提出することとなりました。
〈例1〉
排出事業者がA県内のB政令市に、処分場が同じA県内のC中核市にある場合
平成23年3月31日までは
→ B政令市長とC中核市長宛に提出し、B政令市内とC中核市内でのみ収集運搬業が可能
平成23年4月1日からは
→ A県知事宛に提出し、A県内全域で収集運搬業が可能
〈例2〉
排出事業者と処理場が共にA県内のB政令市にある場合は、都道府県知事宛に申請できない例外ケースとなります。
平成23年4月1日からも
→ B政令市長宛に提出し、B政令市内でのみ収集運搬業が可能
平成23年4月1日以降に新規許可申請を提出する際の具体例として、千葉県を挙げると、次の通りとなります。政令市や中核市がある道府県の場合は具体例を置き換えて下さい。
排出先事業者所在地 | 処分場所在地 | 申請書提出先 | 収集運搬業可能地域 |
千葉市・船橋市・柏市以外の千葉県内 | 政令市である千葉市内 | 千葉県知事 | 千葉県内全域 |
政令市である千葉市内 | 中核市である船橋市内 | 千葉県知事 | 千葉県内全域 |
中核市である船橋市内 | 中核市である柏市内 | 千葉県知事 | 千葉県内全域 |
政令市である千葉市内 | 政令市である千葉市内 | 千葉市長 | 千葉市内のみ |
中核市である船橋市内 | 中核市である船橋市内 | 船橋市長 | 船橋市内のみ |
中核市である柏市内 | 中核市である柏市内 | 柏市長 | 柏市内のみ |
なお、排出事業者と処分場が別々の都道府県にある場合、処分場を管轄する都道府県へ先に収集運搬業の申請をしなければなりません。
注記:
a. 排出事業者から処分場までの間に他の都道府県、政令市、中核市がある場合で、該当する箇所を通行するだけでしたら、許可は不要です。
b. 現在、収集運搬業許可を受けている事業者は、平成23年4月1日から施行される法令改正により、許可有効期限内に新たに許可を取得したり、変更許可を受けなければならないケースがあります。
新規許可申請にかかる申請手数料は、各都道府県、政令指定都市、中核市の区別無く1箇所\81,000円となっております。複数箇所に申請する場合は、\81,000円×申請箇所の証紙代が必要となります。
更新許可申請にかかる申請手数料は、申請先の自治体によって異なる場合がありますが、千葉県の場合は¥73,000円となっております。
変更許可申請にかかる申請手数料は、千葉県の場合、¥71,000円となっております。
なお、当事務所へご依頼の場合は、上記の証紙代以外に報酬額を頂くこととなりますので、事前にご相談下さい。
許可申請書類に記載した次の内容に変更が生じた場合は、変更日から10日以内に許可庁へ、変更内容に応じた必要書類を添付して、変更届を提出しなければなりません。
(1) 住所、本店所在地、事業場所在地
(2) 氏名、名称、商号、組織変更(有限会社から株式会社へ変更など)
(3) 役員(監査役を含む)、株主、出資者、政令使用人
(4) 車両(入れ替え、増車など)
入れ替えする車両や、増車する車両の車検証が電子化されたものである場合は、次のアとイの両方の書類を提出します。
ア.「電子化された車検証」のコピー
イ.「自動車検査証記載事項」のコピー
注:「自動車検査証記載事項」を紛失、破棄してしまった場合は、運輸支局や自動車検査登録事務所では再交付されませんので、パソコンやスマートフォンにインストールした「車検証閲覧アプリ」を使って、「自動車検査証記載事項」を印刷して下さい。
(5) 車庫
また、変更届ではありませんが、都道府県、政令指定都市、中核市によっては、毎年定められた時期に、1年間に取り扱った産業廃棄物の種類、種類毎の運搬量について実績の報告を求めているところもあります。
a. 千葉県知事へ許可申請、車両の変更届を提出する場合に必要とされた千葉県条例に基づく「産業廃棄物収集運搬車両専用標章(ステッカー)」の交付申請は、平成29年3月7日から廃止となりました。
b. 平成17年4月1日より、産業廃棄物収集運搬業者の表示を車両の両側にすることが義務付けられました。
表示する内容は、次の事項です。
① 産業廃棄物収集運搬車
② 許可業者の名称(氏名)
③ 許可番号(下6けたの番号)
現在どこからも許可を受けていない初めての新規許可申請をする場合を除き、この表示を行っている車両の写真を添付して申請又は届出をする必要があります。
c. 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県内へ許可申請、車両の増車変更届を提出する場合は、全域がPM(粒子状物質)規制条例適用地域ですので、原則として初年度登録から7年を経過した車両は、PM減少装置(DPF、酸化触媒)を装着しなければ走行できません。よって、未装着で且つ規定年数を経過した該当車両で申請することはできません。
【規制適合に関する簡易表】
◎ガソリン車は規制対象外です。
ディーゼル車で車検証に記載されている「型式」のアルファベットにより判断なさって下さい。
記号なし、U-、W-、S-、P-、N-、K-、KA-、KB-、KC- | 減少装置が必要。 |
KE-、KF-、KG-、KJ-、KK-、KL-、HA-、HB-、HC-、HE-、HF-、HM- | 神奈川県、千葉県では減少装置が不要。 東京都、埼玉県では平成18年4月から規制強化。初年度登録から7年経過車両は、減少装置が必要。 |
KR-、KS-、HZ-、HY-、上記以外 | 初年度登録から7年経過しても、減少装置は不要。 |
全ての車両が初年度登録から7年経過した場合は規制されるわけでは ありません。
車検証に記載されている初年度登録年月と型式によっては規制条例適合車となっております。
◎令和4年11月現在、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県内の政令指定都市、中核市は次の通りです。
(東京都)
政令市:該当なし
中核市:八王子市
(神奈川県)
政令市:横浜市、川崎市、相模原市
中核市:横須賀市
(千葉県)
政令市:千葉市
中核市:船橋市、柏市
(埼玉県)
政令市:さいたま市
中核市:川越市、越谷市、川口市